最新の法律系雑誌・裁判例等より、実務上、興味深い部分をかいつまんで御紹介してきます。
判例タイムス、判例時報、ジュリスト、Business Law Journal、ビジネス法務、会社法務AtoZ、NBL、商事法務、金融法務事情、国際商事法務、月刊監査役、the Lawyers、二弁フロンティア
【判例時報2293号】
従業員が月100時間を超える時間外労働等を強いられたことにより、精神障害を発症して自殺したとして、会社の安全配慮義務違反に基づく損害賠償が認められた上、損害につき、業務以外の原因が別に存するものの、業務の過重性との間の条件関係が否定されることはなく、他原因と業務過重性が競合するとして、損害全額について賠償責任が肯定された事例(京都地判H27.9.10)
【判例時報2294号】
「手続的配慮を欠いた解散による解雇であっても、解雇権濫用とはいえないとされた事例」(東京高判H26.6.12)」
【判例タイムス1425】
「大阪民事実務研究会 労災民事訴訟に関する諸問題について~過労自殺に関する注意義務違反、安全配慮義務違反と相当因果関係を中心として~ 石村智」
【ジュリスト1495】
「労働判例速報 職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同一の定年後再雇用における労働契約法20条違反の成否 長澤運輸事件 東京地裁H28.5.23」
「労働判例研究 有期・無期契約労働者間の賃金格差の労契法20条違反性 ハマキョウレックス事件 大津地彦根支判H27.9.16 水町勇一郎」
「混合組合の法的性格 任期付公務員の任用更新にかかる団交拒否 国・中労委(大阪府教育委・大阪教育合同労組)事件 東京高判H26.3.18 河田琢之」
【ジュリスト1496】
「労働判例速報 ハラスメントの調査・認定申立てに対する調査委員会の不設置等の配慮義務違反性 学校法人関東学院事件 東京高判H28.5.19 水町勇一郎」
「労働判例研究 遺族補償年金の支給要件と憲法14条 地公災基金大阪支部長(一律中学校教諭)事件 大阪高判H27.6.19 笠木映里」
「制度を特定しない相談者に対する特別児童扶養手当の教示義務 大阪高判H26.11.27 中野妙子」
【Business Law Journal 9月号】
「特集 紛争リスクの高い労務トラブルへの対応 メンタルヘルス・ハラスメント・残業代問題」
「CASE STUDY 内部通報 労働法その他 松原香織弁護士」
【ビジネス法務 9月号】
「『同一労働同一賃金』議論を追う 第2回 労働契約法20条と同一労働同一賃金 橘大樹」
【会社法務AtoZ 8月号】
「特集自然災害を乗り切る実務 災害発生時に留意すべき人事・労務管理のポイント 弁護士今津幸子」
「判例解説 経歴詐称を理由とする解雇の有効性 弁護士南谷健太」
「時事解説 平成28年度中小企業に「おすすめする助成金」 社会保険労務士・フィナンシャルプランナー 北村庄吾」
「会社法務ありがち事件簿・霊界編~もし「あの世に労働法があったら~ ⑵プライバシー情報が、閻魔帳に?」
【金融法務事情 2046】
「ここも知りたい!マイナンバーQ&A[第9回]」
【国際商事法務 649】
「中国ビジネス法務Q&A 中国における就業規則について 神保宏充」
*カギ括弧は引用です。
①今月の裁判例・記事は興味深いものばかり。昨今のホットトピックは当然ながらガイドラインが策定中の「同一労働同一賃金」か。
②Business Law Journalの労務トラブル対応の特集記事は、専門家、ある程度の知識のある人向けではあるが、実務的・実践的で非常に勉強になる。冒頭の最新の判例紹介による傾向分析、メンタルヘルス対応の記事が非常によい。
③判タの大阪民事実務研究会の労災民事訴訟に関する諸問題については、個人的に要勉強・要保存。大阪民事実務研究会の記事は、労働問題に限らず、非常に実務的で書籍より役に立つ印象。