赤坂美味しいもの事情

赤坂美味しいもの事情

弁護士は基本美味しいもの好きであり、自分もご多分に漏れず、食いしん坊です。2002年の弁護士登録から2017年7月まで15年間赤坂で仕事をしてきて、昼も夜も色々なお店に伺いました。

赤坂は、飲食街であるため飲食店の数は半端なく、食べるところには困りません。もっとも、優雅な主婦層は基本少なく、コスパにうるさいサラリーマンが主要な顧客層です。飲食店が生き残るのは厳しい街です。不味ければ、たった3か月ほどで家賃に耐えられなくなり、あっという間に店はつぶれていきます。また、新橋や青山などで人気があったり、もしくは、資本を背景に肝いりで、赤坂で開店したものの、撤退を余儀なくされた店も数しれません。そのような意味で、赤坂で長年生き残りサラリーマンに愛されてきた店というのは、名店といってよいと思います。

この15年にわたる赤坂生活に別れを告げるあたり、仕事に彩りを与えてくれて、愛してきた赤坂の美味しいお店を御紹介したいと思います。自分が愛しここで紹介するお店は、多分、他の赤坂のサラリーマン達も同じように長年愛している地元の名店であり、代わり映えはしません。それでも、15年の感謝の念を込めて、自分なりにご紹介したいと思っています(店名をクリックすると食べログのページに飛びます)。

なお、逐次、書き足していきたいと思っています。

赤坂ランチのおすすめ

赤坂のランチ事情は贅沢である。安い店から高い店、和食、洋食、中華料理、麺系と選択肢も豊富であり、店も星の数ほどある。とはいえ、最終的に通い続けた店は数少なく、すべて自信をもってお勧めできる。いずれも一人客が多く、人気店であるため、長居は無用。サッと入って食べたらサッと出る店である。複数で行ってランチタイムのおしゃべりを楽しむ店ではない。食後ゆっくりしたいのであれば、別途、喫茶店等に行くことをおすすめしたい。

和知/鉄火丼】

田町通りを赤坂方面にTBS通りを超えたところにある店。鉄火丼のみの店であるが、その鉄火丼が本当に素晴らしい。赤身・中トロ・中落、いろいろな部位がタップリ入っていて、何よりも、そのマグロの質・味の良さに驚かされる。毎回おいしい鉄火丼が食べられると期待して行くのだが、食べてみると、期待値や記憶よりずっとおいしいので、いつもびっくりしてしまう。正直ここよりおいしい鉄火丼は食べたことがない。(おそらく)築地や魚介系観光地よりよっぽどコスパ良くおいしいと思う。赤坂で最後にランチを食べるとしたら、ここかもしれない。なお、今までクライアントの方を連れて行ったこともあるが、どの方も大喜びであった。大・中・小があり、御飯の量が異なる。当然ながら人気店であり、売り切れごめん。いつもサラリーマンであふれかえっているが、回転は速い。赤坂では珍しく11時からやっているので、11時から11時30分に訪問するとよい。その時間帯にTBSを引退したらしき人がよくわざわざ食べに来ている。税込みで1100円である。

同源楼四川小四川香味/四川料理】

赤坂で三店舗展開している同源楼グループ。あまりに人気があるので一店舗が現在では三店舗となっている。店員はすべて中国人である(そのため、サービスは手際よいが不愛想である)。そのランチのコスパ・味の良さときたら異常だ。800円~900円代であり、全てに、ちょっとした副菜(豆腐のアボガドトロロのっけなど、これまた気が利いていて美味しい)、漬物、スープ、お代わり自由のごはん、杏仁豆腐(生クリーム系で美味しい)がつく。麻婆豆腐定食が人気だが、赤坂の麻婆豆腐なら、辛いため人を選ぶがコクのある陳麻婆豆腐、山椒風味が個性的な炎麻堂(ここは麻婆弁当の持ち帰りができる)を押す。個人的には、野菜・肉・魚の三種類ある週替わり定食が断然おすすめ。ボリュームが半端なく、一皿、よくある夜の取り分け型中華の4人前くらいある(複数で取り分けると楽しい。ただし、長居は絶対に無用)。初めて見た人はびっくりすると思う。そして、何よりも美味しい。ちょっとした炒め物でも野菜はしゃっきり、肉は柔らかく仕上がっており、調理技術が良いのだと思う。魚介の山椒スープ煮など、凝った料理もある。ただ味付けは少し濃いめか。トマト茄子炒め麺や牛肉の辛味土鍋煮込み麺など麺類もおすすめ。開店直後に行くか、赤坂でも貴重な14時過ぎにも開店しているので、その時間帯に行くのがおすすめである。事務所に近いこともあり、週3回行くこともあり、一番、通った店かもしれない。こちらは夜もおすすめである。

黒猫夜/創作系中華土鍋ご飯】

赤坂見附寄りの雑居ビルの3階。週代わりの土鍋御飯1食のみ、売り切れごめんである。季節により多少変わるが、基本土鍋ご飯の上に具(基本肉と野菜)がたくさんのっており、これをぐちゃぐちゃかき混ぜて食べるのだが、これが美味しいのだ。蒸し鶏、フワッとした巨大な肉団子など、季節により色々だが(時々新作も出てくる)、個人的には、昨年からレギュラー入りした雲南豆腐土鍋御飯が大好物。これは、豆腐とひき肉と香味野菜を海老系の調味料で和えたもの(形容が難しい)がのっているのだが、何とも美味しい。そのほかにも、牛筋と冬瓜の辛味土鍋御飯、土曜日にのみやっている麻婆土鍋御飯あたりが好物である。なお、土鍋御飯には、同じく週替わりの野菜系副菜(かなりボリュームのある)、出汁がきちんととれた滋味深く美味しいスープがつく。こちらも、夜もおすすめである。

うずまき別館/坦坦麺ほか】

田町通りと青山通りの間の細い裏通りにある小さな店。5人しか入れないが、何とも絶妙な加減で丁寧に仕上げられたその芸術的な麺の素晴らしいこと、このうえない。担々麺(汁あり)を頼んでいる人が多いが、個人的には、汁なし担々麺を押す。びっくりするくらいみずみずしい鳥の胸肉、青菜、肉みそ、松の実などが麺にのっていて、これをぐちゃぐちゃにまぜあわせて、半熟卵を落とすのだが、美味しい。また、季節替わりの麺も楽しく美味しい。例えば、夏の冷やし中華は、いわゆる冷やし中華の汁につかったシコシコとした麺に、鳥の胸肉、レンコン、ゴーヤ(!)、グレープフルーツ(?!)、ブルーベリー(??)をピーナッツソースのようなもので和えたものがドサッと乗っており、これをかき混ぜて食べる。全く独自に過ぎた芸術的な麺なのだが、絶妙なバランスで何とも美味しい!塩豚のハーブ麺も、ハーブがどっさりのり、スープが何とも清く正しくしみじみと美味しかった。個人的には、近場の人気がありいつも列をなしている担々麺で有名な某店よりこちらの方が断然好きだ。

【番外編:一言コメント】

祢保希(ねぼけ)

土佐料理のお店。夜は高いが、夜の料理の質を維持しつつランチはお手頃。おすすめは、メンチカツ定食1000円。サックリあがった大きなメンチカツに、美味しいカツオのたたきが3切ほど(さすがにカツオのたたきがメイン料理の一つであり質が違う)に、副菜に、漬物に、御飯に、かつおだしの聞いたお味噌汁。箱が大きいのですぐ入れるし、ゆっくりできる。味を含めて確実性というなら同店。

ねぎ

人気のおふくろ的焼き魚定食の店。いつも店の前で列をなしているが、実直に美味しい。800円~1000円程度。新さんまや塩サバあたりがおすすめか。とはいえ、個人的には、夜も含めて、経営陣が変わる前の方が好きだった(夜の皮から作る餃子などとっても美味しかったのだが)。

デリーモ

チョコレートと高級パンケーキで有名な同店であるが、ランチセットがおすすめ。キッシュとサラダとドリンク付きで800円。これに300円で、ショーウィンドウの好きなケーキ(600円~700円程度のものもある)を一つ追加できるのだが、これがお得だし、楽しい。女性同士で積もる話があるとき、仕事でくさくさしたときに、優雅に甘いもの含みの遅めのランチをとって心を癒す場として最適。

 

 

赤坂夜御飯・居酒屋のおすすめ

まるしげ/居酒屋】

所属事務所の食堂であった。気取ったところのない大衆居酒屋で、酔っぱらった大声中年サラリーマンの天国であるが、料理の種類が、和を中心に洋・中もあり、品数がびっくりするくらい豊富な上に、何を食べても美味しい。たぶん使っている材料もいいし、調理技術もよい。独創的な料理も多々ある。酒の種類も豊富だが、とりわけ、焼酎に安く珍しいものも多いと思う。まずはクーポンで安くなる刺身の盛り合わせ(マグロにとらわれず、カツオやアジやカワハギなど季節の魚をたたきやあぶりや肝和えなどひと手間加わったものが中心でありこれが美味しい)で飲みながら、豚のほっぺ丸焼き、油揚げの納豆ばさみ、明太子のポテトグラタンなど定番ものを頼みつつ、その時々で季節の美味しいそうなものを頼み、最後は牛筋カレー(これがまたしみじみ美味しい)で締めるのが当事務所のお決まりであった。ここで満足しているため、注文しないことが大半であるが、実はデザートもちゃんとしていておいしい。数時間、食べて飲みまくって4~5000円程度。ここまで満足度の高い居酒屋は珍しいと思う。心置けない友人や同級生、同僚、呑兵衛と行くとよい。赤坂を離れ、まるしげを失うことは寂しい。

同源楼四川小四川雅園/四川料理】

ランチでも紹介した店だが、夜も、とにかくコスパよく、とても美味しく安い。軽く食べて飲んで2000円代、平均3000円~4000円代、数時間飲んで食べまくっても高くて5000円ちょいか。こちらは、四川料理の店なので、辛い物好きには何ともたまらない。必ず頼むのは、鶏肉を山盛り唐辛子と一緒に揚げたものと、前菜としてセロリの千切りの和え物(これが量があって400円程度なのだが、美味しい)。独自性に富んだ料理も多く(ラムなどもある)、何を頼んでも楽しくおいしい。複数名でワイワイやるのに最適な店である。こちらのお店の素晴らしいのは、当事務所の所属弁護士が主催していた外部向けの勉強会の参加者が一時期2~3名と激減したものの、勉強会後に必ずこの店で飲み会をすることにしたら、人数が激増し、勉強会に参加せずとも飲み会には必ず参加する者も出てきたというエピソードからも明らかであろう。なお、個人的には、三店舗(ちょっとずつメニューが違う)あるうち、ボス格である同源楼がランチ・夜とも好みである(1階にある四川小の方が混んでいるが)

黒猫夜/変態的中華料理】

こちらの店は、ランチも前述のごとく、美味しいが、真価を発揮するのは断然夜である。現在は、六本木・銀座店もあるが、赤坂発祥だ。とにかく、料理・お酒がマニアックで、とても楽しい。変態的美味しいもの好きには必ずや喜ばれる店である。季節によって料理は全く違うし、蛇やカエル、山羊など変わった素材の料理も意欲的にとりあげている。独自に農園まで所有し、珍しい中国野菜なども育てて、料理に使っており、志し高く、趣味的要素も強い店である。とはいえ、普通の黒酢豚や牡蠣炒めなど通常の料理も美味しいので心配はいらない。こちらで頼むべきはまずは前菜の盛り合わせ。アンコウの紹興酒漬けやサバのスモークなど手の込んだ前菜が並んで、何とも酒に合う。あとは、メニューが豊富なので、興味の赴くままに頼めばよいが、個人的にいつも頼むと決めていたのは、本日の魚のお任せ調理。香味野菜たっぷりと蒸してあったりしてとても美味しい。そして、お酒については、何といっても、紹興酒と白酒の飲み比べ。飲み比べセットがあり、複数あるものから好きなものを3つ選ぶことができる。味わいが酒によって全然違うことが分かって楽しい。個人的には、度は強いけれども、必ずしも中華料理店にいつもあるわけではない、白酒をおすすめしたい。なお、唐辛子(!)の入った白酒のハイボールもおすすめ。食べて飲んで5000円~7000円程度。料理・酒の質を考えたら、楽しさ・満足度が桁違いに高い。是非、美味しいもの好きと行っていただきたい。一度、グルメな美味しいもの好きのクライアントをお連れしたら、とても気に入り、その後、銀座店の常連さんになってしまった。東銀座に所属事務所が移転するので、当方も今度は銀座店(キャバレーの一角にありびっくりするが)にお邪魔することになると思う。

末吉/牡蠣フライ】

末吉は、赤坂の揚げ物の老舗であり、男前な祖父・父・子(多分)が営んでいる店である。いつ伺っても綺麗にコザッパリと清掃がしてあり、非常に清潔であり、揚げ物屋にありがちな脂っぽさが皆無なところがよい。ランチから夜まで、メンチカツ、とんかつ、エビフライ、かつ丼、カツサンドなど、揚げ物全般を手ごろな値段で提供しているが、こちらで食すべきは、牡蠣フライ一択である。冬しかやっていないが(牡蠣ののぼりが店頭に掲げられるようになるのが目印)、本当に素晴らしい。御飯、豚汁、漬物込みで1400円程度であるが、とにかく、サクッと揚げられた大きなミルキーな牡蠣がコンモリと複数数個皿に載った様はまさに壮観である。昔は1000円程度であったが、1400円の現在でも十分なおつりにくる美味しいさである。同じ冬でも、とりわけ、旬ドンピシャの時期の牡蠣フライは本当に素晴らしく、同僚同志で「今日の牡蠣はすごいので食べに行くべき」と情報を交換しあったものである。なお、残念なのは、タルタルソースは手作りであるが、塩(おいしいので塩で食べたくなる)が食卓塩なことだけである。美味しい塩を置いてくれないだろうか。

【番外編:一言コメント】

一点張

いわずと知れた赤坂で最も有名なラーメン屋。人懐こい複数のおっちゃんたちがローテンションでやっている。味噌ラーメンが有名で、辛味噌ラーメンなどは確かに美味しい。しかし実はここで、地味に美味しいのは、チャーハンと餃子。チャーハンは大中小とあるが、小でも結構なボリュームで、これに餃子小(3個)をあわせ、800円弱くらいで確実に幸せになれる。深夜までやっているので、残業後にビールとあわせれば、残業の疲れもふっとぶ。外国人も多い(ただしおっちゃん達は英語はしゃべれない)が、どうやら、溜池にあるANAホテルなどがあり外国人のパイロットの間で口コミで美味しいとのうわさが広まったのがきっかけとのこと。また、味噌は味が濃いので外国人にも受け入れられやすいとか。皆さん、幸せそうである。