企業の方向けに、必要な最低限の労働法の知識、コンパクトに労働問題解決のノウハウをお伝えします。
雇用契約とは、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約をいいます。
雇用契約であり、労働基準法上の「労働者」にあたるのであれば、使用者は、以下のような労働者に対する保護を与えねばなりません。
したがって、雇用契約であるか否かは実務上重要な意味を持ちます。
上記のような労働者保護のための規制を免れるため、名目上、委任契約は請負契約等の契約が締結されることがあります。
しかしながら、契約の名目にかかわらず、また、仮に受注者自身が雇用契約でないことについて納得していたとしても、委任契約書や請負契約書が締結されたとしても、「労働者性」の有無は、あくまで、実質的に判断されます。「労働者」として評価されると、会社が上記保護を与えねば違法となるのです。
雇用契約であり、労働基準法上の「労働者」にあたるのであれば、上記労働者保護の諸制度を適用しなければなりません。
「労働者性」については、一般的に、
について、判断されることとなります。労働者と判断されやすい要素は以下のとおりです。
【労働者と判断されやすい要素】
2. 報酬が労務の対価として設定されているか
3. 事業者性がないといえるか
とりわけ、個人に発注している業務に関しては、きちんと見てみると実質は雇用契約と判断されかねないものが多く、問題となった場合に予想外の多大なリスクを負うことになります。今一度、気になる契約について見直してみたらいかがでしょうか。